私達は、生物が進化の過程で得た極微細な構造が発現する機能に注目して研究開発を行っています。中でも、セミやトンボの翅には無数のナノメートルサイズの突起物(ナノピラー)が形成されています。翅一面に突起物があることから「ナノスパイク」と呼んでいます。このナノスパイクに細菌が付着すると突起物が細菌の膜に力を加えるため、やがて膜に孔が空きます。この穴から生存に必要な栄養素、DNAなどが漏れ出て細菌が死んでいきます。つまり、物理的に細菌を死滅させることができます。

 私達は、このナノスパイクの持つ素晴らしい特性を生かしたモノづくりを進めています。そのためにも殺菌メカニズムの解明が重要です。メカニズムが解明できれば、どのような構造が最適なのかを推測でき、産業に結び付けることができます。そのため、大きく分けて2つ、➀殺菌、抗菌メカニズムの解明に向けた基礎研究、②ナノスパイクを作り出す技術開発 の取り組みを行っています。